「なんだよ。それ。別に俺、たいした人間じゃないから」
「でも、神野先輩って1年でも有名で、人気者ですよ」
「人気者が、こんなところにひとりでいると思う?」
また首を傾けて、寂しそうな表情をした。
飼っていた犬のコロンをまた思い出す。
寂しい時、よく首を傾けて、じーっと私を見つめていたんだ。
あれは何かを伝えようとしていたんだろうな。
「俺、留年してんだよ。だから、本当はもう卒業してる歳なんだ。みんなから慕われてるけど、どっかで俺はアイツらを年下のヤツって思ってるし、アイツらも俺のこと1個上の先輩って思ってる。だから、いくら仲良くなっても本音では話せない」
神野先輩は、もう一度砂利の上にしゃがみ込んだ。
「って、俺が相談してどうすんだよな」
「いえ、そんなことないです。その寂しさ、なんとなくわかります。先輩は、気を使わない本当の心の友を探してるんですよね」
「ブハっ!お前、くさいこと言うなよ」
青春ドラマや、青春小説が好きなせいで、私の言動は時々とても青臭い。
「すいませんっ!」
「いやいや、いいよ。その通りだから。俺がいない方が、みんな楽なんじゃないかなって思うこともある。それは、学校だけに限らないけど」
意味深なことを言った神野先輩は、鞄の中からイヤホンを出した。


