「おい、聞いてるのか」
「はいっ!!」
窓の外を見ているうちに、そこに浮かぶお母さんとマナ先輩の笑顔に吸い寄せられていた。
「ハナちゃん、恋でもした?」
休み時間に桃香にからかわれた私は、完全否定。
「それはない!絶対にない!!」
それは、桃香だけじゃなく、自分自身にもそう言い聞かせたかったのかもしれない。
廊下で声をかけてくれたマナ先輩の笑顔が頭から離れない。
胸の奥がキューっと締め付けられるように苦しいのに、気付くと顔がニヤニヤしちゃってて。
「山城先輩以外なら、応援するからね」
「だからぁ!違うって!眠くてボーっとしてただけだよ」
「そうかな。最近、ハナちゃんかわいくなったもん。恋をするとかわいくなるって言うじゃん?私みたいにさ」
「はっははは!自分で言う~??」
桃香の背中をバシンと叩いて、笑い合った瞬間、なんだか懐かしい気持ちになった。
それは、中学時代の記憶と重なったからだ。
仲良しの桜とは、よく冗談を言って笑い合った。
桜は私の背中をバシバシ叩いて、私はその倍の力で叩き返して。
そんな記憶と共に、お母さんが生きていた頃の気持ちもよみがえる。


