「神野先輩もバスケやればいいのにねぇ」

「そうだよね、いつもだるそうに見てるだけだよね」

「私は、山城先輩しか見えないから~!」

山城先輩というのは、3年のバスケ部部長で、マナ先輩と同じくらい有名な人。

友達はその山城先輩って人を好きになってしまったらしく、成就する見込みは少ない。


4人で、キャッキャッ言いながら廊下を走っていると、一瞬だけ部活のことを忘れられた。

部活内でのことは、友達には話せないままだった。


心配させるから、なんて理由じゃなく。
まだ全然心を開いてないってこと。


「あっ!!」


体育館に入った私は大きな声を出してしまった。

私の視線の先には、バスケをしているマナ先輩がいた。


白いトレーナーを着て、下だけ制服。

茶色い髪が揺れていた。