「ははは。それは新鮮だな。別にいいけど、広めるなよ。オハナと俺だけの秘密だから」
私の前で人差し指を立てたマナ先輩。
秘密だって。
嬉しい。
この気持ちは自分でもよくわからなかった。
恋とかそういうんじゃなくて、お兄ちゃんができたような、そういう気持ちにも似ている。
もうひとりじゃない。
何があってもマナ先輩が助けてくれるって、不思議な気持ちになれた。
男性が苦手な私が、一瞬で心を開いてしまった。
マナ先輩は、不思議な人。
「マナ先輩、何聴いてたんですか」
私はマナ先輩の横にしゃがんだ。
「聴く?」
イヤホンをひとつ貸してくれて、私達は恋人同士のようにくっついて音楽を聴いた。
「洋楽ですか?」
「ああ。歌詞の意味がわかんねぇところがいいんだよ」
「わからないんですね~!英語得意なのかと思った」
「オハナは、この曲聴いてどう感じる?」
物悲しいというか、少し切ないメロディーに、優しい歌声。
「なんだか、夕暮れの海辺って感じです。ちょっと切ない」
「はは、俺も、そんな感じかな」
しばらく黙ってその曲を聴いていた。
目を閉じていると、本当に夕暮れの海辺にいるような気持ちになった。
初めて会った人にこんな安心感を感じるなんて。
しかも、私が苦手なの年上の男の人なのに。


