「あ、そう言えば。なんで櫻木は
こっちに引っ越してきたの⁇
あっちの方がお金持ち学校なのに…。
親の仕事関係とか⁇」
何気なく葵に問いかける。
「女。」
「え…⁇」
「俺の親父、俺が小さい時に
女が出来たみたいで。
ずっとコソコソ会ってたんだ。
それを知った母さんは
家を出て行った。
そしたら離婚した途端、
今より会えるからって言って
わざわざこっちに引っ越して来たんだ。
まじ、バッカみてぇー。」
葵はそう言うと
どこか遠くを見つめた。
「ごめん…。」
「いや、別に。
あんま気にしてねーし。」
あたしが謝ると
葵は首を横に振った。
「ウチの母親も一緒…。」
「⁇」
「あたしが小さい時に、
あたしを置いて男を選んだ。
お父さんは病気で死んで
今はおばあちゃんと暮らしてる。」
あたしがそう話すと
葵はただ黙ってあたしの
話を聞いていた。

