葵に手を引かれながら
売店の前まで来た。
恐る恐る、葵の顔を覗き込むと
明らかに不機嫌そうな顔をしていた。
ーちょんちょんっー
葵の肩をつつく。
「…。」
葵は気付かない振りをして
あたしの事を完全に無視していた。
「お〜い。葵く〜ん。」
あたしも負けじと葵に
ちょっかいを出す。
「…。」
ームニッー
それでも無視し続ける葵の頬を
あたしは軽くつねった。
「おい。バカにしてんの⁇」
すると葵は呆れたように
あたしを睨んだ。
「だって葵がいじけるから。」
「いじけてねぇし。」
「いじけてるし。」
「うっせ。」
葵はぷいっとそっぽを向いてしまった。
「ごめんね⁇」
子供だなぁ。
あたしが葵の手を軽く握って
謝ると葵は少しだけこっちを見た。
「何したら許してくれる⁇」
あたしが首をかしげると
葵はあたしの目を見て呟いた。
「コンポタ。」
「へ⁇コンポタ⁇」
あたしが聞き返すと
コクリ、と頷く。
「コンポタ飲みたいの⁇」
「寒い。」
そう言えば…
最近になって知ったけど
本当は葵は寒がりならしい。
さっき手を握った時も
冷たくなっていた。
「じゃー、一緒に飲もっか。」
「ん。」
「ちょっと待っててね。」
あたしは葵の手を離して
目の前の売店に入る。
「おばちゃん、コンポタ2つ…」
「1つでいい。」
あたしが売店のおばちゃんに
コンポタを頼もうとした時だった。
「え⁇1つでいいの⁇」
「うっせ。早く。」
葵にそう言われ、
あたしは1つだけコンポタを買った。
「はい。あたしも飲みたかったのに…。」
「一緒に飲めばいいし。」
葵に買ったコンポタを手渡して
あたしがスネていると、
葵はさらっとそう言った。
ードキンっー
葵の言葉に少しだけドキッとする。
こういうの反則だよなぁ…。
あたしはそう思いながら
歩き出す葵の後ろについていく。

