「ねぇ お母さん、おばあちゃんってどこからあの古い本を集めてきたの?」




義母は「そうねぇ」と言いながらご飯を食べる箸を止め 思い出すように首を捻った。





「お母様はとても自由な人でね 昔から家に帰らないことなんてしょっちゅうだったらしいの 今のあの人のようにね」





''あの人'' というのは 私の義父で世界のあちこちを飛び回って仕事している いわゆる冒険家だ。それゆえに 家には私と義母の2人で過ごしている。



……私は義父が苦手だから、家に義父がいなくても寂しいなんて思うことはまずない。




え?義祖母はどうしたのかって?




薄々感じてたと思うけど 実は先日、不慮の事故に巻き込まれて死んでしまったの。 義祖母はもう歳で持病を持っている他にも足の調子も悪かったりして医師からは「もう、あまり長くないでしょう」と言われていた。



それでも、義祖母は





『 胡珀が成人して いい人見つけて孫の顔をみるまで婆生きる 決して病なんかに負けたりせんわ』





と言っていた。''生きていることこそ最高の喜びだ、それ以上の幸せはない''と義祖母はいつも笑顔で言っていた。



そんな義祖母を私はすごく誇りに思っていた。