「一体 ここはどこで……あなたは誰ですか?」










私がそう聞くと、彼は目を見開いて固まってしまった。






「あ、し、失礼でしたね!まずは自分から名乗らなきゃいけないのにっ!!」





私が慌てて言うと、彼は少しだけ微笑んだ。






「いや、よい……ここはこの国の南東に位置する月泉山(ゲッセンヤマ)の中にある俺の家で 俺はただの笛吹だ」





「げっせんやま……ふえふき……?」






「お前が俺の家の前で倒れていたから中へ運んだ」






月泉山……笛吹……なんども頭の中に日本地図と職の種類を思い浮かべてもその2つ名は出てこなかった







(……てことはすごくありえないことだけど ……やっぱり''あれ''なのかな……この人が着てる服というか着物は今では見られないもの……ん?)






そう言いながら、私は再び視線を下にすると、ある違和感を覚えた






(服が……変わってる……?)





気づくのがおせーよとツッコみたくなる衝動を抑え必死に思考を巡らせた







(落ち着け……まず落ち着こう私! もちろん私は着替えてないから もしかしてこの家のお手伝いさんの女性が替えてくれたのかも!!この家 広くて大きそうだし!お金持ちっぽいし!!)






私は、水色の着物に身を包んでいた。その着物を綺麗だな〜と思いつつ彼に何気なく聞いてみる







「あの……この着物は……」





「ん?あぁ お前が変な衣を着ていて しかも汚れていたため俺が着替えさせたが?」





ピシャーーン





直後、私の背後には雷が落ちた。





こ、この人当然のように言ったよ!!せめてそんな堂
々と言わないでほしかったよ!!




私は一気に赤面して 布団を胸の高さまで持ち上げた




私は、いや、まぁあるほうではないが……年頃の女子高生としてはこれ程恥かくことはない!!




羞恥で耳まで赤くなり目には涙を浮かべた。私は慌てて 涙を拭おうとしたが、男の人がそれよりも早く大きな手で私の目に触れ指で涙を拭ってくれた。





「あ……」






「……泣くな…意識がなかったとはいえ勝手に着替えさせて悪かった」





男の人は顔を曇らせながらそれでも真っ直ぐ私を見て言った。



は、わわ!私なんてことを!!確かに私は気を失ってたし仕方のないことで 仮にも見ず知らずの私を介抱してくれた人に迷惑かけて……わぁぁ!ごめんなさい!



私は ダラダラと汗をかきながら心の中で謝罪の言葉を述べていた。





「……ところで 次にこちらから質問してもいいか?」





「は、はい!」





男の人は私の涙が止まったのを確認してから言った私は姿勢を正して正座をした。






「お前は一体どこから来た? そもそもなぜ俺の家の前に倒れていた」






「ええっとぉ……それは〜」





もしここで、しょうじきに


「変な光に包まれ意識を失い、気づいたらここにいました!」


なんて言ったらなんて思われるだろう…絶対


「こいつ頭どうかしてんのか?」




って思われる!!そもそも変な光ってなんだー!!




私が目をそらしつつ、あれこれ考えていると男の人が眉間に皺をよせながら「おい」と言ってきた。




……そんな眉を寄せて怖い顔してるとせっかくの美顔が台無しに……って はいはい!すぐ答えるからそんなに睨まないで〜!!




男の人は私の考えてることなんて全てお見通しみた
いに私を睨んできた。



えーい!こうなったら出たとこ勝負だ!!いうだけ言ってみよう!!!



心を決め 真っ直ぐ男の人の目を見て堂々と胸を張り!!