「……それ、俺のパーカー。」


そうそう!!これ、南くんのパー…ん?


パーカーの話かよ!!!



そうだった、南くんがわざわざ私に触るな!って言うために来てくれるわけがない。

でも、そんなに触れられたくないほど大切なパーカーなの?


…それを、私に貸してくれてるの?


そ、それは、それで美味しい!!!キャーーー!!!



「……ふぅん、大事なんだ。パーカー。」


何か試すような嶋中くんの視線に、眉間にしわを作る南くんは、


「…とりあえず、返してもらう。」

「っぅわ!」


それだけ言うと、私の手首をグイッと引き寄せ無理やり立たせるとそのまま歩き出す。


短時間の間に多くのことが起こりすぎた時、人は何1つ理解できないまま流される。by佑麻


「あ、また後でね!嶋中くんっ!」


引きずられるように南くんについて行く私は、チラリと後ろを振り返り、嶋中くんへと手を振る。


それを見た嶋中くんは、クスッと笑みを零しながらも手を振り返してくれた。