その時、たまたま通りかかったのがまだ話したこともない南くんだったんだよね。


普通、大量のプリントを抱えて大転倒した女の子がいたらさ?


『大丈夫?怪我はない?』とか

『どこまで運ぶの?手伝うよ!』ってのが普通だと思わない?


でも、南くんはそんな期待を大きく裏切って開口一番に言われた言葉が


『ばーか。』


……その言葉と一緒に、犯罪級の笑顔を私に投下して来たの。

もう、ただ見惚れるしかなかった。


え?そんなことで好きになったの?って親友の茉央ちゃんには言われたけど、キッカケなんて意外とみんな簡単な事じゃないかな?