「おぉ、久しぶり。」


可愛い肩くらいまでのボブヘアにオレンジにも近い茶髪。

クリッとした目に、筋の通った鼻。

薄く小さな口から発された”瀬那くん”。



—————ドッドッドッド


私の知らない女の子と、親しげな南くん。


あーあ、やだな。
完全にヤキモチ妬いてる。


「久しぶりだね?元気だった?…って、あ!彼女さん?」


私へと視線を向けた女の子に、とっさにペコッと頭を下げて笑ってみたけど、きっと…上手く笑えてないだろうな。


「ん、まぁ。」


そんな、南くんの返事にもモヤモヤしてしまって、私のこと紹介したくないのかな?


とか、どんどん悪い方に考えてしまう。


「可愛い子だね〜、ふふっ。そっか瀬那くんにも彼女かぁ。」

「…うるさい。」

「お?照れてる?可愛い〜。」

「あー、もう。いいから!」



そんな2人の会話もどこか遠くで聞こえて、どうしてこんなに苦しいんだろう。

今にも、泣きそうなのを必死に堪える。