「乙葉と、何話したの?」

「え?…んー、内緒?」


チラリと南くんへと視線を向ければ、私の答えに納得がいかない顔をしていて


「言えないような話?」


「そういうわけじゃないけど…」


でも、南くん絶対怒るもん。


『瀬那にぃ、小さい頃は甘えん坊で、寝る時は絶対にライオンさんのぬいぐるみ抱いて寝てたんです!」


とか…


『保育園の年長のときに、おゆうぎ会でみんなが森の妖精役をやる中、瀬那にぃだけは”木”だったんですよ!』


とか……


『小学4年生のときに、好きな女の子に”好き”って言われて両思いだって舞い上がってたら…その女の子、クラスの男子みんなに同じこと言ってたみたいで凄いショック受けちゃって…


それから瀬那にぃは好きな人を作ったことないみたいなんです。』



たくさん聞いた南くんの昔話。
クスッと笑がこぼれるほど可愛いお話の数々の中で…最後の1つだけは、乙葉ちゃんが眉を下げて話した。