空生は、茶色い瞳で、俺をじっと見つめる。
ー何が映ってる?
目は合っているはずなのに、視えない。
相手が何を見ているのかが。
ー違うか。
そしてすぐに気付く。
ー何も映ってないんだ。
だから。
ー何にも興味を示さなかったのか。
初めて入る場所にも、人にも。
やがて。
空生の方から、フイと視線を逸らし。
「DJは?」
言いながら、崇を振り返る。
「あっ…ええっとぉ…」
えへへと頬をかく崇。
上手い言い訳を用意できなかったらしい。
ー全く、世話の焼ける。
内心呟いた。
「いないんならー」
「機材はあるから。触っていってもいいよ。ミコト達もその内来るから、待ってればいい。」
崇が驚いた顔をして俺を見る。
そして、空生もゆっくりと。
もう一度、俺を見返した。
「折角来たんだから。」
気紛れな鳥は、囀りにきた止まり木が気に入らなければ、巣を作らないだろう。
でも反対に、もしもその木が思った以上に居心地が良いことに気付いたなら。
何年でも、同じ場所に帰って来る。