「また聞かせてね?颯だけ私のこと 知ってるなんてズルいでしょう?」 私は笑って見せた。 「おう!」 今というか。今日は何も知らないままで そばにいて欲しいの。 多分颯はその事に気づいてるから 私をここへ誘ったんだ。 空が青からオレンジ色に染まる頃。 「さて、帰るか。送るよ家どのへん?」 ずっと無言で空を見ていた私に 颯が言った。 「電車ですぐ帰れるから大丈夫だよ。 今日はどうもありがとう。」