抜き差しならない社長の事情 【完】



二時間ほどして、幸田社長を見送った後、

ぐすぐすと泣く紫月を見かねたように、相原は、「久しぶりに二人で飲むか?」と誘った。


「―― はい」


二人が入ったのはすぐ近くにあったバーだ。


丸くて小さいテーブルをはさんで落ち着くと
少し身を乗り出すようにして紫月を見つめた相原は、


「紫月――お前、

切野社長と何かあるのか?」



声を低くしてそう聞いた。




「え?」


「この前、エレベーターで何か様子が変だったとかなんとか、総務の保科さんが心配してたぞ」