「い……い、るよ」
深くうつむきながらぽつりと答えてくれた晴ちゃんに、条件反射で前のめりになる。
大声を出しかけ、はっ、と口を手で押さえた。いけない、いけない。ここはカフェ。うるさくしちゃいけない。
「だ、だれ? 私の知ってる人?」
興奮を内部にとどめつつ、身を寄せて質問を続ける。
晴ちゃんも恋していたなんて! 晴ちゃんはどんな人を好きになるんだろう。気にならないはずがない!
晴ちゃんは伏し目がちに、ぷっくりとした桃色の唇を固く引き結んだ。
誰かに気持ちを明かすのって、勇気がいるよね。
聞いてほしいけど恥ずかしくて、話しづらいのに伝えたい衝動に駆られる。
大切な人だからこそ、勇気を出して話そうと思える。
私も照れくさかったし、ちょっと怖かった。
だけど晴ちゃんになら。
晴ちゃんだから。
この想いを知っても、受け止めてくれると思ったの。
「えっと、ね……」
「うん」
「……う……」
「う?」
「……宇月、くん」
首まで真っ赤っかになりながら、可憐なソプラノを弱々しく響かせた。
私は目を白黒させ、耳を疑い、口を開閉させる。
驚き桃の木山椒の木……って言ってる場合じゃない。今日イチの衝撃がピッシャーン!と落雷した気分だ。
「も、もも、もう一回、聞いてもいい……?」
「宇月舜也くんのことが、好き、なの」



