ねぇ、南。

私を傷つけまいと言葉を選んでくれてありがとう。


『松井は、早く新しい恋したほうがいいぜ?』って。迷惑とか嫌いだとか言わずに、遠回しに私の背中を押そうとしたんだね。



それとも……ちがう理由があるの?

新しい恋をすすめてきた理由。



南の全てを知りたいと思ってしまう。でも全てを知る権利は私にはないから、うまく踏み込めない。


ずっと隣の席だったのに、知らないことばっかりだ。

いじらしくて、いたましくて。


とても、とても、いとおしい。




夜へと完全に移り変わった空には、数え切れないほどの星が点々と飾り立てられていた。


花火の輝きとはちがう。

一瞬の儚いものではなく、永遠の確かな光。


私と南、隣り合うふたつの花火が、星明かりに負けじと鮮やかに咲き乱れる。

そっと残り香を置き去りに、隣の花が先にしぼんでいった。



「あっ……消えちまった」



はるか高みで優しい光を放つ星たちは、きっと気づいている。


私の知らない、キミの秘密に。