この恋、賞味期限切れ




好きだなぁ。

本当の本当に、心から、南のことが好きだな……。



そう改めて痛感させられる。

また南に恋をする。


何度も何度も、性懲りもなく、気づいたら落っこちて、溺れていた。


甘みが失せても関係ない。

好きは、ただひたすらに、大きくなっていく。



南の声で、南の言葉で、南と向き合って、「誰とも付き合わない」と聞いたばかりなのに。

苦さでいっぱいの胸の中は、なんでこんなにも温かく感じるんだろう。



あぁ、しまったな。
新しい恋は、当分できそうにない。

南以上に好きになれる人なんて、世界中どこを探しても見つかりっこない……気がする。たぶん。


南のことが大好きで。その言葉だけじゃもう全然足りないんだ。



やっと薄れてきたと思っても、またキュンときて、ハートをやられちゃう。

この気持ちをあきらめようと思うことすら不可能。


いつまで経ってもベタ惚れなまま、片思いを延長し続ける未来しか想像できない。


このままじゃダメだとわかってる。だけどどうしようもできないの。


賞味期限が切れていることを、うやむやにして、偽ってしまうくらい。




「花火、しない?」

「ああ。するか」



いつかこの想いが消える日をただ待っているより、本当の“失恋記念日”が来るまで、こんなふうに南の隣でバカやって笑っていたい。