この恋、賞味期限切れ



橋の影から解放された、向こう側。

満点の星空の下、踊るようにはしゃぐクラスメイトの姿が、花火に照らされていた。


チカチカ、チカチカ。

きれいに光って、焦げて、音もなく枯れていく。



「そういえば、お前はなんて言おうとしたんだよ」

「私は……謝ろうと思って」

「謝る? 俺に?」



なんで、と小首を傾げられ、私はひと呼吸分おいてから謝った。



「ずっと避けてて、ごめん」



ドキドキした。
いい意味じゃなくて、悪いほう。

南も思い当たる節を見つけ、言いにくそうに声量を落とした。



「俺も避けてたし、……ごめんな」



じわじわと込み上げてくるものがある。

鼻の奥がつんとした。


花火が眩しいんだ。
切ない輝きに感動したんだ。


だから、瞳が潤んでるんだ。そうにちがいない。お願い、そうであって。



「また松井とこうやって話せて、嬉しいよ」



相変わらず、ストレートだなあ。

何回涙腺を刺激するんだろう。


私もだよ。私のほうがきっと、何億倍も嬉しいって思ってるよ。そう叫びたがる恋心を、どうにかこうにか抑え込んだ。これ以上困らせてしまうのを恐れて。