こんな身勝手なわがままを、頼みに来たわけじゃない。
本当なら……友だちに戻りたかった。
真反対の願いだった。
気づいたら、また、想いがあふれていた。
告白したときのように。
ほとんど無意識だった。
「抱きしめたい……なんて、だめだな俺」
「え?」
「なっ、なんでもねぇよ!」
焦ったようにはぐらかされた。
なんて言ったんだろう。
私はありのままの気持ちをさらけ出しているのに。
ただ近くにいたくて。
そのためならなんでもできると信じていて。
泣きたいのを我慢することだって、なんてことないはずなの。
「……い、いいのか?」
「……うん」
「つらいぜ、きっと。それでも……いい、のか?」
南を好きになるのは、私にとって当然のことだったのかもしれない。
だって、南は、あまりにも優しいから。
優しすぎるから。
両思いにはならないとわかっていながら想い続け、失恋したのにそばにいることを選んだら。
つらさのあまり、私の心が壊れてしまうと、心配してくれたんだね。
ありがとう。
でも、いいの。
ちゃんと、わかってる。
大丈夫だよ。
「うん、いいよ」
しっかりと、強く、頷いた。
つらさを微塵も感じさせない、凛々しさで。
あいまいに終わらせない。



