この恋、賞味期限切れ




「松井はさ……早く新しい恋したほうがいいぜ?」

「……なんで?」

「俺は一生、誰とも付き合わねぇから」



あぁ、やっぱり。

まあるく膨らみ、上げて上げて、天高くまで昇った想いを、あっけなくぱちんと割って墜落させる。


南が泣きそうな顔をしないで。

ひきょうだよ。


私がどれだけ南のことを好きなのかわかっていないから、そんなことが言えるんだ。

私はもう溺れてしまっているのに。

南への想いがあふれすぎて、簡単にあと戻りできそうにない。


だけど、南は、一度は優しく寄り添っておきながら、優しいまま突き放そうとするんだね。



「“一生”なんて……嘘、でしょ?」

「俺は誰とも付き合わない。そう決めてるんだ」



それを私に告げる理由も、高校生でありながら覚悟している意味も、私にはわかりっこない。


一生。

重く、堅く、揺らぎない言葉。


ふつうは言えない。言えたとしても、嘘になるかもしれない。

南のように真剣には告げられない。


それでも南は、するりと自然に「一生」を選び取り、はっきりと紡いだくらい決意している。



私に「一生」を言葉にするのは荷が重いし、むずかしい。


だけどね。

一生ものの恋だって自信はあるよ。


新しい恋ができるなら、そうしてる。

なかなか未練を断ち切れない。


南のこと以外、好きになれないの。

それこそ、私の一生分の恋心を、南で埋めつくしてしまったみたいに。


この大きくなった“スキ”を上書きするには、きっとまだ何かが足りない。もしくは……甘くなりすぎたんだ。



「それでも、私、」