この恋、賞味期限切れ







一時間目、国語。


教科書に載っている短歌を、先生が詠んでいく。聴いているとだんだんうつらうつらとしてしまう。


このままじゃ寝ちゃう!

頭をブンブン横に振る。まだ意識は冴えない。気分転換に外の景色を仰ごうと横を向いた。



……あ。


視界に入ったのは景色ではなく、今まさにうとうとしている南だった。



か、かわいい……。


頬杖をつきながら瞼を下ろそうとし、ぎりぎりで見開いた目をまた閉ざしていく。

小さな子どものようにあどけない。



「ふふっ」



ついにやけてしまう。

こんな無防備な南、もう二度と見られないかも。



「……なんだよ」



ずっと盗み見ていたら気づかれてしまった。まだ眠そうにしながらも横目に睨んでくる。



「なんでもなあい」



へへへと笑って、とぼけたフリ。

寝顔かわいいよ、なんて言ってやんない。



「眠くねぇの?」

「国語は眠くなるの当たり前じゃん」



南はくくっと笑って、大きなあくびをした。

それが伝染したのか、私もあくびをしてしまう。


やば。また眠くなってきちゃった。