この恋、賞味期限切れ




「気合い入った格好してっし、これからデートかと思って」



真面目な面持ちで言われ、私はあわてふためく。

で、でで、デート!?



「ち、ちがうちがう! 今夜クラス会があるの!」

「……なんだ、クラス会か。楽しそうだな」

「花火するんだって」



最後に手持ち花火をしたのは……たしか、小学生のころ。

舜ちゃんと、当時のクラスメイト数人と、それぞれの親に見守られながら近くの公園で閃光を散らした。

数少ないロケット花火を奪い合ったのも、いい思い出だ、うんうん。



「舜ちゃんこそデート?」



舜ちゃんの服装は、言わずもがなチャラい。

ざっくり胸元の空いたTシャツに、じゃらつくアクセサリー。私にとっては、近寄りがたい格好だ。


だけど、組み合わせとしてはおしゃれで、センスがいい。

きっと街を歩けば、女の子の視線を独り占めして、何回もナンパされるんだろうな。



「んなわけねぇじゃん。ダチと飯食ってただけ」

「へぇ~」



その「ダチ」の中には、当たり前のようにかわいらしい女の子がいるんでしょうね。モテる男は大変だ。

嫌味ったらしく思っていると、舜ちゃんはすっと目を細めた。



「でも……クラス会にその格好で行くのか」

「なんか変?」