「俺………」
南……?
何か言いかけ口をつぐみ、南は拳をきつく握りしめた。
あぁ、そうか。
きっと、南も、距離感を探ってる。
私のことを気遣おうとして、困ってるんだ。
その不器用さは、お互いさまだね。
「み、南!」
「っ、」
「授業、真面目に受けなよ? しりとりなんてしないでさ」
「……松井……」
やっぱり私は、かわいくない。
でもさっきよりは、らしくなれた。
南に背を向け、私から先にこの場所と別れた。
どうしよう。泣いちゃいそうだ。
南が最後まで優しいから。
ずるいよ。
いつになったら忘れられるんだろう。
「好き」は募っていくばかりで。
次に進ませてくれない。
どんなキミも好きで。
きらいになろうとしてもできなくて。
自分がこんなにあきらめわるいなんて知らなかった。



