「あのね、舜ちゃん」
「んー?」
舜ちゃんを二歩、三歩追い越し、くるりと体の向きを変えて見つめ合う。
昔とはちがう舜ちゃんだから。
言おう、言いたい、そう思える。
「私、ね……」
体も心も成長して、恋もした。
だけど、私の心は、あのころよりも弱くなったかもしれない。
「失恋、したんだ」
人知れず流した涙があったこと。
ひとつの恋にヒビが入ったこと。
誰かに――ううん、舜ちゃんに、知っていてほしかった。
これは、私の、わがまま。
「え……?」
「あはは、ごめんね。いきなりこんな話されても困るよね」
「う、嘘……」
暗雲を追い払うように明るく笑う。
この笑顔は無理やり作ったものじゃないよ。
本物だから、ねぇ、舜ちゃん。
「さっき告白して、フラれちゃった」
代わりに舜ちゃんが笑みを消さなくていいんだよ?



