「しゅ、舜ちゃん! ぐ、偶然だね〜!」
「こんな時間に会うなんてめずらしいな。何してたんだよ」
「日直だったの。舜ちゃんは?」
「俺は………」
たちまち舜ちゃんの目が泳ぎだす。
もしかして……今まで女の子とデートしてたな?
「ちょっと……遊んでた」
案の定の返答、そしてうすら笑い。
ふーん……と興味なさげに瞼を伏せる。
その目元を、舜ちゃんはじろじろと凝視してきた。
「憧子」
「な、何?」
「泣いてた?」
ぎくり。
そんな効果音がつきそうなオーバーリアクションを取ってしまった。
やっぱり、と舜ちゃんは愁眉になる。
「何かあった?」
「………なんにも、ないよ」
たぶん、バレバレだったと思う。
それでも舜ちゃんは、だまされたフリをしてくれた。
「言いたくなったら言えよ」
ぽんぽんと頭を数回撫でられた。
長い指にすっぽりと包まれ、安らかな温度をくれる。
南のとはちがう。



