「ふ……っ、うぅ」
がまんしていた涙が、ついぞこぼれた。
大粒のそれは、冷たく頬を刺す。
隣の席になって、好きになった。
南だから、恋になった。
だけど、南は、ちがったんだ。
胸にあった甘さがだんだんと消えていく。
いやだいやだとねだっても、否応なしに思い出の味は苦々しく朽ち果てる。
ぼろぼろ、とあふれる涙から、糖分が流れているのかもしれない。
声を押し殺しても、涙は止まらない。
夕焼けの色が深まるにつれ、影が濃くなり、涙の跡を隠してくれた。
相変わらず、南はずるいね。
泣けなかった。
泣かせてくれなかった。
苦しがる南の視界には、私の笑顔はどう映っていたのだろう。
好きだと感じるとき、好きだと伝えるとき、好きを拒まれたときも、こんなにも一瞬なんだね。
どうしてあのとき、「好き」って言っちゃったんだろう。
言わなければ、まだもう少し、甘さに酔いしれていられたのかな。



