絡まり合う視線。
むずがゆい沈黙。
特別心地のよい空気ではないのに、離れたくはない。
胸の内側を占める甘酸っぱさが、体内をめぐりめぐる熱によって煮詰めては、酸味を飛ばしていく。
糖度が高まると、胸はきゅうっと音を立て、一度大きく飛び跳ねる。
何もかも、あふれてしまう。
「……好き」
…………あ、れ?
今……何か、声、が。
私の、声だ。
紛れもなく、私が、私自身が今、とんでもないことを……。
「…………、え?」
「……っ」
小さな、小さな、その呟きは、静かな教室ではよく響いたようで。
南の耳にも、届いてしまった。
どうしよう。
どうしよう……!
つい、思わず、言っちゃった……!!
心臓が爆音をかき鳴らす。
混乱して、動揺して、穴があったら今すぐに飛びこみたくて仕方がない。
それでも、否定しなかった。
この気持ちをなかったことにしたくなかった。
「――ごめん」
たったの三文字。
一秒にも満たない。
ふわふわ舞い上がっていた想いが、海の底まで沈ませるような一瞬だった。
夢うつつな期待も、微熱も、冷めていく。
え……?
私……フラれた……?
暑いのに、どうしてだろう、ひどく寒い。



