定期テストが近いし、ノートがなくちゃ勉強しにくいもんね。
「……」
「………な、何?」
ノートを手にした南にはもう、ここにいる意味はないはず。
さっさと帰ってしまうかと思いきや、席に座ってじぃーっと私を見つめてくる。
その熱視線はどういう意図なの!?
心音とリンクするかのように、字がガタガタと崩れていく。
そんなに見られてると、書きづらいんだけど……。
「松井ってさ」
「?」
「かわいい字、書くよな」
漂う、静寂な空気。
二人きりの教室に、ぽつりと落ちる低い声。
ごくごく自然に、私の心臓を止めかけた。
「え……?」
待って。
今なんて言った?
かわいい?
……え!?
いや、かわいいのは私のことじゃなくて、字のことなんだけど! だけどさ……!!
「だから、字が……」
「き、聞こえたから! もう一回言わなくていいから!!」
もう一度言われたら、爆発しちゃう!
ど、どうして、いきなりそんなこと……っ。
不意打ちで「かわいい」は効果バツグンなんだぞ!? もうっ!



