自分のはくれなかったくせに!
いじわる!
ぷいと顔を背け、アイスを食べようとして……はたと気づく。
ちょっと待てよ?
これって、どっちにしろ間接キスでは!?
紅潮を隠したくて、南からさらに顔を逸らし、思い切ってアイスをほおばる。
あれ? おかしいな。
さっきはあんなにも味のハーモニーを感じたのに、今はわずかな酸味やカカオの風味がわからない。
味覚にべたりと張り付いたような甘ったるさが、口から喉奥まで染み渡っている。
さらに甘さを足すようにやけ食いしていると、南はだんだん表情を暗くしていった。
「わ、わるかったよ」
「……」
「ごめんって!」
「……」
怒ってると思われてる……?
誤解を解くタイミングを失い、アイスを食べ続ける。
「許してくれよ! たった一口だけだろ!?」
「……」
「なあ、松井!」
おろおろしている南に、思わず笑ってしまいそうになる。
あぁ、もう。
いとおしいなあ。
「ほら、松井にも俺のアイス一口あげるからさ!」
「ほんと!? そこまで言うならいただこうかな。ありがと、南!」
「……えっ!?」
その一言を待ってました!
私は満面の笑みで抹茶キャラメルを一口食べた。
ほどよい苦味がキャラメルの甘みで包まれて、すごくおいしい!
「なっ、え、……だ、騙してたのか!?」
南は想像以上に驚愕していた。
えへへ〜。南の真似していじわるしてみたんだよ。
南も間接キスにどぎまぎしちゃえ!



