この恋、賞味期限切れ



一緒に「いただきます」と声をそろえ、アイスを食べ始めた。



「んっ! おいしい〜〜!」



口に入れた瞬間、ひんやりとした冷たい温度とともに、濃厚な甘さが広がっていく。

いちごの甘酸っぱさと、ビターなショコラが、ちょうどよく混ざり合っている。



「南のはどう?」

「まじうまい!」



抹茶キャラメルもおいしそう。

食べている南が、幸せそうな顔してるんだもん。そっちも食べたくなっちゃう。



「一口ちょうだい?」

「だーめ」

「えー」

「……だめだからな」



試しに頼んでみたけれど却下された。
しかも二回も。


ちぇー。だめかー。

かわいさが足りなかったのかな。


抹茶の香りとキャラメルの糖度が、隣にいる私にも伝わってくるから、どんな味か知りたかったのに。

けっして間接キスを期待してたわけでは……。



「……って、ちょっと南!!」



煩悩に眩んでるすきに、横からストロベリーショコラを私の手ごと引き寄せられた。



「もーらい」



アイスのてっぺんを、南に食べられた。

油断した……!
四分の一が消えた!

んまあい、とおおげさにほっぺを落とす南を横目に、私は肩を落とした。