この恋、賞味期限切れ



パステルカラーのワゴンショップには、お客さんがたくさん集まっていた。すごく人気らしく、女の子だらけだ。特に女子高生が多い。

ワゴンの前には、カフェスペースやベンチがあり、そこでアイスを食べている。


ここに男子高校生は、たったひとり。
南だけだ。



「南、浮いてるね」

「うっせ」



南は照れ隠しに口を尖らせ、ちょうど列が途絶えたワゴンショップへと足を進めた。


ガラスケースにあるアイスのサンプルを眺める。

王道のバニラ、苦味の強いブラックチョコ、夏っぽいレモン味、変わり種の激辛アイスまである。

色とりどりで、見ているだけでわくわくする。


うーん……どれにしようかなあ。

あっ! ストロベリーショコラってやつ、おいしそう!


いちごらとチョコレートを合わせたアイスで、ピンクと白と茶色の色合いがかわいらしい。

よし決めた!



「松井は何にすんの?」

「これ!」

「おっけ。すみません、ストロベリーショコラと抹茶キャラメルください」

「かしこまりました」



南が注文すると、店員さんがコーンの上にアイスを乗っけていく。



「はい、どうぞ。ストロベリーショコラと抹茶キャラメルでございます」

「ありがとうございます」

「わーい、アイスだ! ……って、あれ? 南、お金は?」

「ああ、さっき俺が払っといた」



南はさらっとそう言って、ふたつのアイスを受け取った。