振られても、恋心は募る一方だった。

今では抱えられないくらいいっぱいで。


大切にしたかった。


手のひらをぎゅっと包み込まれた。

どちらともなく指と指を絡め、隙間を埋めていく。



「……ぉ、おれ、も、」

「南……」

「俺も、松井と……憧子と、一緒にいたい。一緒に生きていきたい……!」



保健室で初めて呼ばれた名前。

キミと交わしたファーストキス。


たぶん南は、私が知らないことだと思っているよね。でもほんとは知ってるんだよ。


これはまだ内緒。私だけの秘密。

私に嘘をついていた南へ、ちょっとした意地悪だよ。許してね。




「俺も好きだ。

誰よりも、憧子のことが好きだ」




好き。うん。大好き。

すれ違っていた想い方が、ようやくひとつに重なった。



今までいろんなことがあったね。

笑って泣いて、傷ついて苦しんで、悩んで逃げて。


それでもキミに恋をして。



赤い糸はここにあった。

ちゃんと結んであった。


これから一緒に固く結び合っていこう。