『緊張するなぁ……』



あれはおととしの3月。
あたしがまだ受験生だったころのこと。


高校入試、当日。

朝ご飯も喉を通らないくらい不安だった。


今まで受験勉強を頑張ってきたんだから、大丈夫だよね。

そう自分に自信をつけようとしてもやっぱりだめ。

心臓がバクバク鳴っている。


あたしが通っている中学からこの高校を受けるのは、あたしだけ。

仲の良かった友だちは、みんなちがう学校を受ける。


だから、なんだろうな。

この場にひとりぼっちだから、よけいに怖くてたまらない。



もし受かったとしても、仲のいい友だちができるのかな? 入学後もひとりぼっちだったらどうしよう。そもそも合格できる?


ネガティブ思考が止まらなくなる。

足がすくんで、受験会場の高校の校舎にも入れない。


そんなときだった。



『大丈夫?』

『え……?』



すぐ横から、温かみのある声を贈られたんだ。