「憧子ちゃん!」
そんな舜ちゃんの隣で、晴ちゃんは息を深く吸い込んだ。
「がんばれっっ!!」
なんてわかりやすくて、素直なエール。
ズシンと響いてこだまする。いつまでも消えずに灯ってる。
「うんっ! ありがとう!」
いくら感謝をしても足りないや。
不安な気持ちを吹き飛ばして、精一杯の笑顔を向けてくれたふたりに、これからどうやって恩返しをしていこうか。
私は教室を飛び出した。
机に教科書を置いたおかげで、軽くなったカバン。
よれよれで走りづらい、使い古された上履き。
ふわっと浮いて広がる、スカートのプリーツ。
どこもかしこも気にしない。気にならない。
校舎を出ようとすると、ポツリポツリと雨が降りだしていた。
カバンの中には折りたたみ傘が入っている。
さして行こうか。……いや、ささないことに決めた。
きっと走るとき、邪魔になる。
雨の中、走り出した。
水たまりがあっても、風が吹いても、雨に濡れても。
私は前へ前へと走っていく。
目指す場所は病院。
キミのいる場所へ。
聞きたいことがある。
言いたいことがたくさんある。
だけど本当は。
ただキミに会いたいだけ。



