この恋、賞味期限切れ




「――南くんは今、駅近くの病院にいるよ」




……びょう、いん?

なんでそんなところに……?



「事情は行ったらわかると思う。病室は3階の373号室。病院の場所はわかるよね?」

「うん。ありがとう晴ちゃん」



早く知りたい。

キミのこと。私の知らなかったこと。


怖くて心臓は震えっぱなしで、足はすくんでいる。

だけど気持ちは高ぶったまま。



「憧子」

「……舜ちゃん」



ふと名前を呼ばれて顔を上げる。

舜ちゃんは寂しさをたたえながら、うすい唇をほころばせていた。



「私、実は南のこと……」

「知ってるよ」

「え……」

「俺が気づいてねぇと思ってたか? ずっとお前のことを見てたから、わかるよ。南って奴のことが好きなんだろ? 今もずっと」



私の頭を優しく撫でたあと、思いっきり髪の毛をぐしゃぐしゃにするように手を乱暴に左右に振った。



「行ってこい! そいつに会いに」



分厚いその手が背中を添う。

トンッ、と弱すぎず、強すぎず、背中の真ん中あたりを押された。


振り返ると、舜ちゃんは親指を立てて笑っていた。



いつだって舜ちゃんは、ピンチのときに駆けつけてくれる。

道をまちがえたら、こっちだよって先導してくれる。


この思いは恋じゃなかったけど、舜ちゃんがいなくちゃ、私、きっとだめになってた。


ありがとう、たったひとりの幼なじみ。