この恋、賞味期限切れ




「でも! 今からでも憧子ちゃんの恋を応援させて?」



タレ目な栗色の瞳が、きらり、勇ましく光る。

いつの間にかっこよくなったの、晴ちゃん。



「あたし、知ってるんだ。南くんの想いも、居場所も」

「えっ……!?」



なんで……晴ちゃんが知ってるの?


脈がにぶくなったのを感じる。


動揺を隠せない私を、晴ちゃんはただひたすらに真っ直ぐ見つめた。

視線の交わるところに熱が帯びていく。ひどく冷たい熱だった。



「それなのに憧子ちゃんに教えられなかった。教えていたら……!!」

「晴ちゃん」

「……っ」

「過去のことは、いいの。もう、いいんだよ」



お願いだよ。

せっかくかっこよくなったのに、傷つけてしまわないで。


晴ちゃんは友だち思いのいい子だよ。

私の自慢の親友。



「晴ちゃん、自分を責めないで? 何も悪いことしてない。晴ちゃんを悪く思ったことなんて、一度だってないよ」

「憧子ちゃん……」

「晴ちゃん、教えて? 南の気持ちは南に会って、直接聞きたい。だから……」



南の居場所を教えてほしい。

一刻も早く、南に会いたい。


この恋の甘さも苦さも噛み締めながら、南に会いに行きたいの。