気づいたら涙腺は崩壊していた。鼻水まで出てくる始末。目元と鼻先に熱が集中していた。


しとしと、と、南の机に書かれた落書きを、情の入り乱れた涙がにじませていく。



どうしよう……。止まらない。

キミに会いたくて仕方ない。



相合傘の意味。残された言葉。
それら全てを知ったとき、キミのいない理由にもつながる気がするんだ。


今までの優しさも、あのキスの本音も。


伝えてくれないと、初恋を終わらせられないよ。



「……っ、行かなくちゃ」



今。今じゃなきゃ。

今、会わなければ、きっと……絶対に後悔する。


私は強めに目尻を拭った。涙の流れた唇を噛んだ。そこはかとなくしょっぱい。

ぼやけた落書きをそうっと撫でる。ずいぶんと濡れてしまった。文字がふやけている。



南の想いを、どうか聞かせて。


こんなわがままで、ごめんね。

でもね。南のせいだよ。


落書きを危うく残してるから。
キスなんてするから。

だから。

こんなにも会いたい気持ちがあふれて、止められなくなってる。



もしも、南の想いが私と同じなら、そのときはまた言ってもいい?

たった二文字の甘い言葉を。



「南……っ」



今、キミに会いにいくよ。

どこにいても、何をしていても、私はこの茜色の空の下でキミを想う。


だから……キミの全てを愛させて。