「どうして……」
どうして相合傘なんて書いたの。
どうして私の名前を隣に寄り添わせたの。
誰かに見られたらどう言い訳していたの。
なんとなくじゃ納得できないよ。
南。もしかして。
……私のことが、好き、なの?
それとも、私をからかってるの?
教えてよ。答えてよ。
ごめん、って言ってたじゃんか。
どうしてよ……。
新しい恋をすすめてきたのは、どこのどいつだ。バカ。バアカ。
思わせぶりもいいとこだ。
私を振り回して、こんなに泣かせて……わざとなの? わざとじゃないならよっぽど大罪だよ。
好きなら、好きって言ってよ。
ごめん、じゃ、もう、わかんないよ。
好きだよ。大好きだよ。南。
私と、相合傘してほしいよ。
雨も甘くしてよ。
お願い……。
私、本当のことが知りたい。
全部、隠さずに教えて?
南の言葉で、本心を。
ちゃんと聞くから。受け止めるから。
だから。
「……南。み……な、み……?」
……え? これは、どういうこと?
相合傘のななめ下。
名前の文字よりうすく、小さく、がたついた殴り書き。
もうひとつの、落書き。
“もっと、一緒にいたい”
“生きたい”
これは、一体……何。
どういう意味で、これを……。
一緒にいたいって、生きたいって、なんで。どうして。
だって、南は……。
……南、は……?
知らない。
わからない。
どんな思いでこれを書いたの?