「好き……、好きだよ、南」
届かない。聞こえない。
私の声は、私にしか、すくえない。
そんな、わかりたくなかったことだけは、はっきりとわかってしまう。
それでも、もう一度。
もっと。
もっと。
「大好きだよ」
抑えきれないから。今だけは。
きっと、もう、南本人には伝えられない。
伝えてはいけない。
賞味期限が切れた想いを、このまんまにしてはいけない。
だからこそ……今。
南がいない、この場所で、吐き出したいの。
「南……っ」
せめて、ここで八つ当たりするみたいに言うのは、許してくれるでしょう?
甘かった。切なかった。苦くて、つらかった。
一言で、一瞬で、片付けられない味があふれていた。
「……す、き」
あぁ、泣きそうだ。
だめだ。泣くな、私。
こらえろ。
ぽたり、と。
そう耐えていても、だめだった。
涙が落っこちて、戸惑ってしまう。
ぽたり、ぽたり、と大粒の雫が南の机の上に染み渡っていく。
胸がぎゅっと締めつけられた。“スキ”の文字が浮き彫りになって、熱くも冷たくもなる。



