夏休みでもないのに、会えない日がこんなに続くと思わなかった。
会えたら。
変わらない笑顔を見れたなら。
甘いとか苦いとか、傷ついて傷つけてしまったことも、全部、平気なふりができる。
キスのことも。
なかったことにする。できるはずだ。
本当は忘れたくないけれど、また気まずくなるのはいやだから、何も聞かない。
だから……早く、会って、心配も恐怖も吹き飛ばしてよ。
今は隣にはない南の席を見つめながら、そうっと瞼を伏せた。
まるですぐ隣にいるかのように、楽しげに笑う南を鮮明に思い出せる。
こっそり八重歯の先が覗くところ。
目尻をやわくくっつけるところ。
私が見ていることに気づくと、瞼の裏の優しい幻影は、顔をくしゃりとさせ、目を線にして笑いかけてくれる。
苦しいだけのきらいな三文字ではなくて、待ち焦がれた二文字を紡ぐ――前に、瞼を上げていく。
現実は、何ら変わらない。
窓際にぽつんと置かれた机は、空席のまま。
ここに、南は、いない。
ちょっとタチの悪い熱中症だよね。
もう少ししたら会えるよね……?
大丈夫だって言いたいのに。
情緒の安定しない心の中は、全然、ちっとも大丈夫なんかじゃない。
一週間も会えなかった。
南が倒れたって、知ったときの衝撃が、未だに脳裏に残っている。
落ち着いてなんていられない。
本当はね、南のところまで、走っていきたいよ。



