「南くんが倒れた……!?」
事情を聞くと、晴ちゃんの顔から血の気が引いていった。愕然とした様子で、血色の薄くなった唇を噛みしめる。
「……まさか……。うそ、でしょ……」
「私もよくわからないんだけど……」
「熱中症かなんかじゃねぇのか?」
舜ちゃんだけは淡々と楽観視していた。
しかしどうしても悪い方向に考えてしまう。
胸のあたりが、なんか、こう……モヤモヤとするんだ。圧迫感があって、血のめぐりが滞っている感覚。そのせいか、不安が拭いきれない。
熱中症ならまだいい。いや、よくはないんだけど……。
そうじゃない、気がしてる。
「お前が責任感じることはねぇって」
舜ちゃんには私がそうとう落ち込んでいるように見えたようで、私の肩をポンポンと軽くたたき、励ましてくれる。
でもね、だって、南は。
私を助けたせいで、倒れてしまったのかもしれないんだよ……。
それとも今日は体調が悪かったの? わからない。南のことを一心に見ていたはずなのに、何もわからないことが辛いよ。苦しいよ。
心配でたまらない。
私の、大切な人。
キミがいないと安らぐこともできない。
「憧子ちゃん……。だ、大丈夫だよ! きっと!」
「そうそう。憧子は気にしすぎだって」
「……そう、だよね」
信じたい。
信じていいんだよね……?
また、南の元気な笑顔を、見せてほしいよ。