わからない。

怖いよ。


南は、大丈夫なの?



「……憧子ちゃん?」

「な、なんでもない……」



何かを言おうとしても言葉が出てこない。ううん、ちがう。言えないんだ。


私はあの場にいなかった。

ただ聞いていた。

聞こえてしまった、だけ。


単なる傍聴者に過ぎなかったのに、どう言えばいい? 疑問を増やして、不安にさせてしまうんじゃ……?



「憧子ちゃん!」

「ひゃっ! ……ふぁるひゃん?」



晴ちゃん?
いきなり何!? どうしたの!?

いきなり両頬をつねられ、引っ張られ。

その指先は少し冷えている。



「ひとりで抱え込まないで……頼ってよ」

「……っ」

「あたしたち、親友でしょ?」



親友。その言葉を強く発した。


雨空みたいにどんよりしている気持ちを見透かしたように、晴ちゃんは微笑む。

光り輝く太陽みたいなその笑顔に、心が落ち着いていく。



「じ、実は……」



私は南のことを話した。

本当か本当じゃないのか、何がどうなったのか、わからないことだらけだけど。


だから……わからないからこそ、伝えたかった。

助けを乞うように。