体温が沸騰していく。
あふれる甘さが心を溶かしていくみたい。
これじゃあ眠れないよ。
またキミは、そうやって、私を期待させるんだね。
何度も、何度も、懲りずに“スキ”は募っていく。この気持ちは水みたいに簡単に蒸発しないんだよ。
自惚れてしまう。
フラれた身なのに、どうしたって同じ気持ちなんじゃないかって考えてしまう。
……うん、わかってる。
そんなわけ、ないよね。
あぁ、好きだ。大好きだ。
どうしたらキミから、「好き」の二文字を聞けるのかな。
甘さを丸飲みして、苦みが神経を奪っていくと――ふわり、と何かが唇をかすめた。
温かくて、柔らかくて。
かすかに吐息がかかる。
な、に……?
南。
ねぇ、南、すぐ近くにいるの?
ゼロセンチの距離から、だんだんと南が遠ざかっていくような気がした。
今のは何?
あの感覚。初めてだった。
あれは……。
今、……キス、した?
どうして、キスしたの?



