この恋、賞味期限切れ



私の肩を掴んだまま、ゆかりは前後に大きく揺らてきた。


頭がガクガクする……!

酔う! 脳内シェイクされてる!


体を揺すられ、ただでさえ安定感の低かった騎馬の土台がバランスをなくす。


くっそう!
やられたまんまでいられるか!


私もゆかりの肩を掴んだ。同じように前後に揺らす。やられたらやり返すのだ。



「や、やめてよ……!」

「そっちが……先に、やってきたんでしょうが!」

「さっさと落ちなさいよ!」



悪魔みたくニンマリとした笑みを浮かべるゆかりに、私は必死に首を横に振った。

鋭く固められた爪を、さらに肩に埋めていく。



「くっ……!」



痛い……っ。

どんだけゆかりの爪、とがってるの。凶器かよ。せめてもっと丸くしておいてほしいな。痛いのはみんないやだと思うよ。


――ドンッ!


痛みをこらえ、力がゆるんだ瞬間を狙い、ゆかりは私を突き飛ばした。



「あ……っっ!」

「ざまあみろ」



体がかたむいた。

騎馬もろとも崩れていく。


スローモーションのようだった。


視界には、嘲笑うゆかり。

はらり、と青色の帽子が落っこちる。

砂ぼこりが舞っていた。



あ、負けた。

と、理解した次の瞬間――最初は背中、次に頭に、落雷のような衝撃が響いた。


痛い! ……のに、声が出ない。

私……倒れたんだ……。


だんだんと視界がぼやけていくなか、誰かの心配する顔が映った。ような、気がした。