よーし! 今度は私ががんばる番だ!
「私も一位目指そーお!」
「あ、そっか! 次、騎馬戦だよね!」
「行ってくるね、晴ちゃん!」
「うん! 応援してるよ憧子ちゃん!」
晴ちゃんとハイタッチをして、私は指定された場所へ向かった。
グラウンドの右側に、青チームが列を作る。反対側には、黄色のハチマキをしている軍隊が見えた。
ルールは簡単。参加者は全員女子。各チームの色の帽子をかぶって、敵チームの帽子を取る。騎馬が崩れたり、帽子を取られたらアウト。帽子の数が多いチームが勝利する。
私はなんと騎手!
じゃんけんで負けてそうなっちゃったんだよね。でもなったからには、一番上に乗って、がつがつ戦っていくよ!
「ただいまより、騎馬戦を開始します」
よーい、どん!のピストルで、騎馬がいそいそと動き出す。
さあて、戦闘開始だー!
騎馬は不安定で動くたびにぐらぐらする。ちょっと怖い。
アウトにはなりたくない。慎重にいかなくちゃ。
ゆっくりと前進していく私たちの騎馬に、敵が接近してきた。
「この間はどうも」
「……ああっ!」
そのえらそうな顔!
忘れたくても忘れられない。
この前、晴ちゃんをいじめていた女子だ。
たしか……晴ちゃんから聞いた名前は――ゆかり。
舜ちゃんを追っかけている女子たちのリーダー的存在……らしい。
彼女の頭には、黄色いハチマキの上に黄色い帽子をつけている。なんともダサい。
それ以外は今日も派手やかにキマっている。晴ちゃんを傷つけたきらっきらの長いネイルも健在だ。
あ、そういえば舜ちゃんも黄色チームだったっけ。
「何? またいじめに来たの?」
「いじめてないわよ。あれはただ、ゆかりの物を取り返そうとしたの」
騎馬に君臨しているせいか、この前よりいっそう女王様感がすごい……。
ここで逃げてたまるか!
私も負けられない!!
強気に意気込み、ゆかりを睨むと、負けじと鼻で笑われた。