今日は体育祭!
二学期最初のイベントで、学校全体が浮き足立っている。
天気も最高にいい!
アクリル絵の具を塗り広げたような鮮やかな群青。ほどよい風に、浮雲はたゆたう。
まさに体育祭日和。
「9月下旬なのに、暑いね」
「そうだね! 応援の熱気のせいかな」
応援席で晴ちゃんと一緒に声援を送っているだけでも、体温が上がり、汗が出てくる。水分補給は必須だ。熱中症になったら困るもん。
ぱたぱたと襟元を引っ張って風を送る。
今日の空と同じ、青色のチームTシャツ。
私たちのクラスが青チームである証拠であり、仲間とのおそろいアイテム。デザインがかわいくて気に入っている。
Tシャツだけじゃなく、ヘアスタイルにもばっちり気合いを入れてきた。
いつもは耳下にふたつ結びをしている髪を、高めのポニーテールにして、青のハチマキでリボン結びにしてみた。
ちなみに、晴ちゃんは、高めの位置でふたつのおだんごをつくり、猫耳カチューシャっぽくハチマキを飾っている。
チャイナ風のヘアアレンジに、男子たちはメロメロになっている。うん、わかるよ。最強のかわいさだよね。ふふん。わたしの自慢の親友でっす!
「あ、次、南くんだよ!」
晴ちゃんがグラウンドの中央を指さした。
今から始まる種目は、100メートル走。
南はトップバッターだ。
ホームルームで出場者を決めるとき、満場一致で、元サッカー部で足の速い南を推薦した。
クラスの総意に、南は初め渋い顔をしていた。
だけど今は、やる気に満ちた顔をしている。
走る前からかっこいいなんて……なにそれ、ずるい。
あの日――優しくしないで、と拒絶してしまってから、また気まずくなってしまった。
挨拶はするけど、……それだけ。
お互いわざと避けている。
せっかくクラス会の日に仲直りしたのに、すれ違いを繰り返している。
……仲直りした意味、なかった。
ごめんねって言いたい。その次に、でも……、と言ってしまいそうで怖いんだ。