幻のスイーツの名前は、本当に「プレミアムスイーツ」だった。パッケージに刷られた「プレミアム」の部分が、金色で強調されている。
うん、プレミアム感たっぷり。
「クラスの女子からもらってさ。俺、甘いの苦手じゃん? だから憧子にあげようと思って」
激甘党な南と、甘いのが苦手な舜ちゃん。
ふたりはとことん正反対。
「もらっちゃってもいいの? 舜ちゃんがもらったものなんでしょ?」
「いーの、いーの。教科書貸してもらったお礼でもあるんだし」
舜ちゃんは見た目も中身もキラキラのハデハデになったけれど、そういう優しさは変わっていない。
昔の面影を、ようやく見つけた。
「ありがとう、舜ちゃん」
舜ちゃんは朗らかにほころんだ。
「また忘れ物したら借りに来っからよろしく」
「はいはい」
プレミアムスイーツをもらっちゃったら断れないよ。
それほどレアなスイーツなんだ。
それと。
理由は、もうひとつ。
舜ちゃんとは一年のときもクラスが別で、こうやって会話する機会があまりなかった。
だから、今、他愛ない話をするきっかけがたくさんあって嬉しい。
舜ちゃんはいっつも女子に囲まれてるから、声をかけにくいし。
「あ、舜也! 一緒にお昼食べようよぉ」
「あー、わかったわかった。じゃあまたな、憧子」
と思ったらこれですよ。
横から割り込んできた派手めな女子が、舜ちゃんの腕に自分の腕を絡めた。
でこられた長い爪、くるくるに巻かれた髪の毛、マスカラでくるんと伸ばしたまつ毛。それら全てが、私から舜ちゃんを遠ざけるバリケードのよう。
去り際に、あの派手な子に睨まれたんですけど。
別に私、舜ちゃんの彼女じゃないのに。
「憧子ちゃん、お昼食べよ」
不服だったが、晴ちゃんが声をかけてくれたおかげで和んだ。
晴ちゃんのいやしパワー、バンザイ。
晴ちゃんの手には、小さめのお弁当箱と、ブラウニーが入っているらしいラメ入りの袋があった。



