あたしは不格好な笑顔を顔に貼り付けた。
気にする素振りなく、宇月くんは背中に隠し持っていた何かを差し出す。
「これ」
「……?」
目に飛び込んできたのは、きんぴかに刷られた、プレミアムスイーツ。
金曜日に憧子ちゃんが頼んでいた一品だ。それが、二つ分。
「え? ……えっと……これ……」
「今センセーに呼び出されててさ、それ届けに行けねぇんだ。だから憧子の分も渡してくれね?」
「で、でも……」
あたし……今は、憧子ちゃんとは……。
言い訳がましく断ろうと思ったものの、生唾ごと言葉を呑み込んだ。
宇月くんに言っても仕方のないこと……だよね。
あたしが勝手にヤキモチ焼いてることに、好きな人を巻き込むのはちがう。
好きな人にあたしがいろいろ告げ口してしまえば、あたしはあたしを本当に嫌いになってしまう。
だったら……言いたくない。
心配も、迷惑も、かけたくない。
「あたしの分まで……ありがとう」
あたしは何もしていないのに……。
歯切れ悪くそう言ってほほえむと、宇月くんは優しくあたしの頭を撫でた。
「喜んでもらえてよかった。じゃ、よろしくな」
くしゃりとあたしの髪を乱し、宇月くんは軽やかな風のように職員室へ行ってしまった。
手元に残ったプレミアムスイーツが、ふたつ。あたしと、憧子ちゃんの分。
本当にあたしのプレミアムスイーツも……。
まさか本当にくれるなんて思ってもみなかった。
……そ、そうだ!
これをきっかけに憧子ちゃんと話そう!
休み時間になると話しかけてくれていたのに、怖くて無視していた。そんなあたしが、憧子ちゃんには怖くてたまらなかっただろうに。
だから。だからこそ。
無視しててごめんね、って謝ろう。謝らなくちゃ。
あたしのほうから、ちゃんと。



