憧子ちゃんが隣にいないだけで、どっと、形容しがたい感情が流れ込んでくる。
心臓にぱんぱんに詰まり、いつか破裂して、おかしくなってしまいそう。
あたしは……憧子ちゃんに聞きたかった。
金曜日に何してたのか。
キス、してたのかどうかを。
責めたいわけでも脅したいわけでもない。
憧子ちゃんの口から本当のことを聞きたいだけなんだ。
それが、あたしのしたいこと。しなきゃいけないこと。
……だけど、いざ憧子ちゃんの前に立つと、現実を知るのが怖くて。
足がすくむ。
声が出なくなる。
胸が震える。
憧子ちゃんの勇気に見合った気持ちじゃなかった。
ごめん。ごめんね。
体育祭について話し合ったホームルームは、いつの間にか数学の授業に様変わりしていた。
授業中、ノートを取っていたつもりだったけれど、終わってから確認したら最初の数行しか埋まっていなかった。
初めての失態だった。
あたしって……こんなに弱かったんだね。
今日は何もいつもどおりにいかない。
昼休み、いつもなら一緒に食べるのに、今日はひとり。
さびしかった。なんだか物足りなく感じた。
いつもよりご飯がおいしくない……。
ひとりきりの昼休みは、いやに長い。
暇つぶしに図書室へ行こうと、教室をあとにした。
「あ! 幸村さーん!」
「……は、はい?」
うしろから声をかけられて振り返ると、あたしに駆け寄ってくる宇月くんの姿が。
ドクン……。
いつもなら会えてうれしいのに、今日はなぜだかうれしくない。
今は、会いたくなかったな……。
「どうしたの?」



